成人の日に

去年の暮に買った本の紹介です。
「画家たちの二十歳の原点」(求龍堂 刊)
有名な高野悦子の「二十歳の原点」のいわば画家版。
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価格は3000円と決して安くないのですが、どうしても欲しくて求めました。
去年の春から同名の全国巡回展があり、この本は公式図録兼図書となっています。
明治から平成までの54人の画家,油彩に限定して作品と画家の言葉。テキスト、年表などが収録されています。


雲愛 光(あいみつ) 画 「洋傘による少女」1929 (昭和4年)
画家22歳の時の作品。有名なところでは「眼のある風景}がありますがこれは珍しい初期の作品です。カンバスの裏には・・・・
「立川へおよめいりする 幸多きことをいのる 母が恋しい 会いたい ずいぶん年をとったのだろーな」という走り書きがあるそうです。
徴兵で中国に渡り、満州に嫁ぐ2歳下の妹を描いたものです。本当なら晴れがましい事なのに、疲れ果てたのか悲しいのか漆黒の中、傘にもたれうなだれ、じっと眼をつぶっている妹の姿をどんな思いで描いたのしょうか。



時は流れ・・・







石田徹也の「燃料補給のような食事」1996年(平成8年)
画家が23歳の時の作品です。

これを見たとき瞬時に回転ずしと牛丼屋を思い浮かべました。そして食べている自分が感じていた事がそのまま絵になっていることに快感さえ覚えました。これはむしろ大きなくくりでいけば風刺画なのかもしれません。

あえて全く性格の異なる作品を取り上げました。
単に時代背景の違いと決めつけないで、そこにある画家の思いや境遇に想像を巡らせながら眺めるのも面白いかと・・・。


さて、さらに16年が過ぎ
今日長男がめでたくも成人式。
100人いれば100通りの二十歳の原点・・。
ハテ、私の二十歳の頃といえば・・・・
恥と後悔ばかりのジタバタ人生。
人さまに言えるほど褒められたものではありません。^0^