クリスマスケーキの思い出

父の実家は東京向島でアイスクリームの卸業を営んでいました。店の車庫にはオート三輪が並び、奥には大きな冷凍庫がデーンとすえられていたものです。
 年の暮れには家族4人で「ごあいさつ」に伺うのが恒例で、小学生だった私には密かな楽しみがありました。それは“アイスクリーム”のクリスマスケーキ。きっと25日の売れ残りだったのでしょう。帰り際、祖父が「持っていくか?」と持たせてくれるのです。上のデコレーションは苦手なバタークリームでしたが、土台は丸ごとアイスクリーム!食べ応えがありましたねー。年に一度の贅沢でした。

 あれから幾星霜。祖父母は他界し、後年、店をきりもりしていた父の兄も他界して廃業。父も亡くなって、向島に行くこともなくなってしまいました。でも、毎年この時期になるとあの夢のようなケーキが懐かしくよみがえってくるのです。

 さて、今年のケーキはどうしよう。不二家シャトレーゼも飽きてきたので目先をかえてコンビニに予約しましょうか。