川を見に

こんなところにも家を立てるのか
と、ここを訪れるたびに思う。

江戸川に注ぐ坂川のほとりだ。
鬱蒼とした林に囲まれ昼なお暗い隠れ家のようなお住まい。
夏は蚊に悩まれそうと思うが、駅まで歩いていけるし車の騒音はない。
お世辞にも清流とは言い難いが水辺のある暮らしなのだ。

仙人のようなお爺さんかが住んでいるんだろうか
案外若い家族だったりするのか想像をたくましくする。
一度、訪れたいとは思うのだが

何の用もなく、玄関のチャイムを押してもなあ・・・・
新聞記者とかミニコミ紙の取材を装うか、第一声はとかいろいろ考えるのだが今だ妙案は思いつかない。

いつ頃から住んでいるのか、なぜここに決めたのか、住み始めた頃のこの辺の様子とかいろいろ聞きたい。出来れば写真なんかも見せていただきたい。


この近辺は私が通い始めた30年まえから変わらず、開発とは無縁の好きなスポットだ。


すぐそばを通る川沿いの細道


人が1人やっと通れるホントの細道だ。

通るなよ
と言わんばかりに樹木が道を斜めに塞いでいる。


腰をかがめて頭を低くしてやっとこさでくぐる。
生活道路なんだろうが近所の人はいつもこうやってくぐって買い物とかにいくのだろうか。これを不便と思う人はここには住めないだろう。
邪魔だと伐採せず不便を選んだ人の優しさを思う。







じつは、この足で近所の文化ホールでやるという県立松戸高校芸術科の卒業制作展を見学に行く予定だった。


ところが会場に行ってみると高校生はたくさん集まっていたがまだ展示されていない。「何時からですか」と尋ねると1時からという






あら〜

当然10時からだと思い込んでいた。




どうしよう




あと3時間もあるではないか。


ホールを出て、歩き回ったせいか足が痛くなってきたのでどこかで休みたくなった。
しかし、昨今、駅のまわりはスタバとかドトールとか落ち着かないトコロばかり。ならばと一大決心して路線バスの旅としゃれこんだ。


目の前に留まっていた市川駅行きのバスに乗り込む。

ああ、やっと座れたわい。^0^休憩もかねて車窓の風景を楽しむ。
市川までは1時間弱の道のり。あちこちで梅が満開。しかし、東京外環道路の工事をあちこちでやっていた。ここもそのうちコンクリだらけの殺風景な眺めになってしまうに違いない。





いきなりニョッキと生える高層マンション・・・・異様だ。


市川は何十年振りだろう。
タワーマンションが遠くからも見えていたから、さぞかし駅前は様変わりしているだろうと思っていたが、駅舎は昔のままで周りの高いビルに埋もれていた。ただ、自転車屋や定食屋,八百屋、肉屋など個人商店がバス通り沿いに元気に営業しているのが嬉しかった。


手児奈通りを抜け真間川に沿ってしばらく歩く。

やっぱり川はいい。気持ちが落ち着く。


分りにくいが排水パイプの中に野鳩がいた。


川沿いに車道と歩道、そして並木。弁天様が祭ってあったりするのが嬉しい。橋によっては真ん中にベンチが川に向かって置いてある。夏の夕涼みにいいかもだ。




この辺は閑静な住宅地。
気の向くままに歩いていると、突然目の前に長い階段が。

真間山に続く階段だ。
名前だけはよく聞いていたが、唐突な出会いになった。
くわしい謂れは調べる時間がなかったが、山と称するだけあって「山頂」からは駅までの家並みがパノラマのように広がっていた。

町中の山、ドラえもんの世界だ。^0^

境内には大きなしだれ桜があった。満開になったらさぞかし見事だろう。




立ち寄った喫茶店からはかわいい赤い橋が見える。

つぎはぎつぎはしと呼ばれている。^0^
昔は川が流れていたそうな。
落ち着いた佇まい、すっかり気にいった。







再びバスで松戸に戻る。

文化ホールに行くとすでに展示が終わり、会場は高校生や先生や卒業生と思われる若い人達で賑っていた。同窓会のような華やかな雰囲気にちょっと圧倒されながらひととおり見て回った。

油、日本画はもとよりデザイン、版画、ファッション、ジュエリー、映像、写真、漫画、イラストなど多岐に渡った内容。たどたどしいが素朴で若いエネルギーに溢れていた。





それにしても松戸高校に芸術科が設置されるとは誰が予想出来ただろう。
今年で7期目という。県内で唯一、県立高校の芸術科だ。なにより担当の先生方の苦労と努力は並大抵ではないだろうと想像する。

しかしそので一方で中3生が高校受験の段階で進路を芸術方面に絞ることのむずかしさ不安もあるだろう。それでも創作の世界に生きようとする高校生に心からのエールを送りたい。


今日はたくさん歩いて足が棒のようになってしまった。筋肉が落ちている。

いかんいかん。