映画館にて






久々に2人で映画を観てきた。






休日の昼間、チケットの窓口にはうねうねと長蛇の列。
うへえ・・・
行列と人ごみが嫌いな私。




「昼間はこんなに混むんだね〜」

いつもは夜の回なので並んだ事がない。


お腹がすいたのでポップコーンとハンバーガーを買った。高い。
ハンバーガーはなんと400円。暴利だ。^0^





席に着いてしばらくぼーっとしていると、チケットを持った人が来て
「ここで間違いないでしょうか」という。「えっ?」とこちらもチケットを出して確認。
「Eの8と9・・・間違いないですねえ」


相手のチケットも見せてもらったが、確かにそっちも同じ席番号。
ダブルブッキングだと思った。「そうですか・・」

「すいませんでした」とその人たちは去っていったが、なんだかこっちが悪いような気もして落ち着かない。


私の右側は年配のご夫婦だった。
バッグからレジ袋を出してペットボトルとお菓子の袋か何かを出している。

おやおや、外からの持ち込みは禁止のはずなのに知らないのかな。でも、400円あればジュースとパンくらいコンビニで買えるんだよなあ、とかやっかんでみたり・・・・



そのうち、隣からある匂いが漂ってきた。



件のご婦人の化粧やヘアスプレーの類の匂いではなかった。不快でななく
形容しがたい、それでいてどこか懐かしい匂いだった。

きっと

このご夫婦のお宅の匂いだと思った。





昔、よく一緒に遊んだ幼なじみの家は、いつもぬか漬けの匂いがしていた




同じ匂いがその子の服にもついていて、ウチに遊びに来た時も、その子は家の匂いがした。

隣の家からはしょっちゅうニンニクの匂いがしてきて、母は閉口していたっけ。
家の匂い。




家だけじゃなかった。
そう言えば、あの頃はドブがあって臭かった。
汲み取り式トイレだったから、バキュームカーが来た時は、口で息をしたものだ。

生活の中にいろんな匂いが充満していたあの頃。

想い出の中に息ずくいろんな匂い。


そんな事をあれこれ考えていると、「掟やぶり」の老夫婦に対するもやもやがいつの間にか晴れていた。

館内のスナックは高いから、節約のためにコンビニで買って、こっそり二人で分け合って食べる夫婦。


それも、ありだよね!^0^


バッグを閉じたせいか、いつの間にかあの匂いも消えていた。