この絵貰って下さい・・
と、先日恐る恐る伺ったお宅です。
数年前スケッチさせていただきました。
線路際のちいさなワイシャツの仕立屋さん。
オーダーメイドなんて私の懐具合ではとても無理。
でも、きっと作ってもらったら最高の着心地なんだろうなあ。
どんなご主人なのかしら。職人らしいちょっと気難しい感じなのかな。それとも気さくな話好きな方かな。
あれこれ想像しながら描いた一枚です。夏で暑かった。
あれから10年ちかく、ずっとスケッチブックに眠っていた。
これは、どうしてもあのお宅に飾ってほしい。
。そう考えるようになったのがここ2年ほど。
先日、意を決して訪問しました。
ああ、きっと胡散臭い押し売りか何かと思われるのが関の山だなあ。とか「間に合ってます」と追い払われるんじゃないかとかドキドキで玄関のチャイムを押しました。
奥様が出てこられ、趣味で古い民家を描いている事、できればこちらに飾っていただければ、絵も喜ぶというような事を話してしばし立ち話。幸い険悪な雰囲気にもならず、「ただというわけには・・・」と言われましたが「飾っていただければそれでうれしいんで・・・はい」と辞退。笑顔で受けとってくれました。ホツ。胸のつかえががおりてるんるん。
作品としては満点といわけにもいかないのですが、最高の嫁入り先がみつかってうれしい。収まるべき所に収まった安堵感。
それにしても、この10年で木造民家をまたがたっと減って、マンションやコンビニや駐車場になっている。なんだか体の一部が少しずつ溶けていくようなザワザワするこの感覚。
あまり残された時間はないようです。